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初版公開:2013年1月4日


【007】立てこもり   作:ものかき

☆=4  ☆☆=13  ☆☆☆=3  合計=39

☆☆(フミん)
☆☆(逆行)
☆☆(乃響じゅん。)
(SB)
☆☆(ラクダ)
(<無記名>

☆☆
ポケモンが立てこもるという発想が良いです。立てこもりの理由はかなり人間臭いですが、まあフーディンならむべなるかな、という感じ。
話はまとまっててよかった。ですが、誤字脱字が多かったです。
◆朱烏

☆☆☆
 今回のコンテストで一番のお話でした。予想では数をテーマにした作品は出ないのではないかと思ってましたので、まずはそこから裏切られましたね。
 フーディンが事件を起こすという展開に目から鱗です。フーディンは筆談以外ほぼ何もしていないのに、どう思っているのかとかが手に取るように分かってすごく感情移入をしてしまいました。いくらフーディンが高知能でもポケモンだからやり方を違える、そういう話の展開がとても好みです。主人公が変な正義感でフーディンを潰すエンドよりも、こちらの後味が悪いエンドの方が良いラストでした。
 面白いお話をありがとうございます。
◆(無記名


ポケモン小説でこういう題材ものはめずらしいのでその点は新鮮だった。ただ、この作品はお題にとらわれないでのびのびやったほうがいい気がした。読んでいてとても窮屈そうに感じた。
そう思った理由は主に二点ある。
第一に、「数」に負けたという点に違和感を覚えた点。数じゃなくて金や構造に負けたんじゃあ? と思ってしまった。数に負けたとするならたとえば国会で賛成多数でポケモンに不利な悪法が通ったとかそういうのに立ち向かわないと数で負けたとは言わないんじゃないだろうか。単に相手の力が強くて負けたものをむりやりお題の数に落とし込んでしまっているように見えた。
第二に、主人公独自の哲学が欲しかった点だろうか。なんというか刑事ドラマや探偵ドラマのテンプレ(しかも使い古された感じの)すぎた。正直、私としては主人公のキャラクターに期待していたのもあってがっかりしてしまった。もうちょっと作者独自の、主人公独自の感じが出せなかったものか。(ただし、これは贅沢な要求だが)
なんというか、すごく頑張っているのはわかるし、伝わってくるんだけど、努力の跡が見えるのっていうのは、すごく苦しそうってことで、それが見えちゃったが故に素直に楽しむ事が出来なかった。うまく言えないんだけど、読んでてそう思った。
もうこれに関しては書き慣れてくれとしか言いようがないので、何とも心苦しい限りなのですが、それが感想です。一皮むけた時がどうなるか。小説書きとしてはこれからだと思います。
◆No.017

☆☆☆
 読者を引き込む臨場感に圧倒されました。スリリングな展開に目が離せません。
 ただ一点、フーディンとの会話は筆談で行われていたのですが、スピーディなやり取りが必要な場面としては少しちぐはぐな印象を受けました(念力とはいえ、一画ずつ万年筆で書いていくのは時間がかかりそうなので)。とは言え、ノートに刻まれる文字の変化はフーディンの心情をつぶさに伝えており、音声を介さない意思疎通の手段としては、これ以上ものはなかったかもしれませんね。
 最後のページをめくる演出にぐっときました。
◆イサリ

☆☆
読んでてぞくぞくした。もっとブラックでもいいのよ。
作者は多分あの人だろうなあ、と予想している。結構好きなのにこれ以上感想書けなくて悔しい。
◆砂糖水


 ポケモンで刑事モノとは、なかなか珍しいですね。面白かったです。
 今回のコンテストの中ではかなり長い作品でしたが、ストーリーがしっかりしていて読みやすかったです。冗長さが全くなかったかと言えば、そうでもありませんが。
 テーマとしては、お題である「数」と、もうひとつ「人間とポケモンの確執」というのがあったように思います。ここに関しては、少し踏み込みが浅いかなと思います。
 結局、この問題に対しての結論は出ていないし、ポケモン側の代表であるフーディンは明確に自身の考えを主張しましたが、人間側の代表である主人公はフーディンに対する反論を述べるにとどまって自分なりの主張を述べていません。これはどうにも残念な点でした。
 作品としては面白かったと思います。テーマの「数」の絡ませ方も良かったです。
◆利根川 泰造

☆☆
刑事ドラマの一話分を見ているようで面白かったです。
お題も所々に見られてよかったと思います。
◆穂風奏

☆☆
「数に殺されたのだ」というセリフが印象的で、いいなと思った。たしかに数以外にポケモンが人間に負けている部分もないしなぁ。ポケモンと人間の違いに結局最後は力で抑えに来るという価値観もすんなりと納得できたのでよかった。頭がよいからといって、結論が論理的にはならないし、解決方法が話し合いにはならないというのはポケモンらしいなと思った。ただ、フーディンのキャラに主人公のキャラが食われてたなぁという印象が。もうすこし、主人公の色が強いと良い対比になるなぁとおもいました。
◆西条流月

☆☆
 フーディンのテロリズム。……なんて否定的な言い方はそぐわないですね。結構重い内容で、感じる所も多かった一作です。マイノリティと言う単語を繰り返し使っている辺りに、作者の方の思考の一端を垣間見たような気も致しました。
 伏線を張るのが上手く、読んでいて随所で刺激を受けられる為、長い作品であるにもかかわらず全く退屈しませんでした。作中人物達の主張や意図も論理だっていて、こう言う価値観を前面に出して来る作風が好みの自分にはおいしい作品でしたね(笑) 有難う御座います。
 ただ、残念ながら突き抜けた様な面白さまでは感じる事が出来ませんでした。意見の衝突と葛藤と言った心理面の描写を主眼に据えているので、アクションシーンを期待するのは間違っていますが、それならそれでもう少しストーリーや背景に味付けが欲しかった。字数の制限もあったとは思いますが、必要最小限の情報のみで構成された背景は必然的にありきたりなものとなり、議論の補強は出来てもエンターテイメントとしては殆ど機能してくれません。作品の体裁は整っても面白くないのです……。自分も字数制限で苦しむ性質ですのであんまり言えた立場ではないのですが、少なくともこれだけでは、作品の面白さが限定的なものになってしまうとだけは。傲慢な意見で済みませんorz
◆クーウィ

☆☆
 「数に負けた」というのがこの作品の大きなキーワードだったと思います。私にはフーディンのこの言葉が「少数派の意見であったがために負けた」ことと「たったひとりの立てこもりだったがために物量を投入されて負けた」ことの両方を意味しているように読めました。二重に篭められた意味がこのキーワードの印象深さを強めているのかもしれません。読了後にすっきりするお題の織り込み方でした!
 キャラクターについて言えば、主人公の勘の鋭さも光りました。「俺」が犯人をポケモンだと疑った理由に不完全そうな部分があり、けれど「俺」は犯人を正しく言い当てる。勘を以って不足を補ったわけですね。この流れが「刑事の勘を持った主人公」というキャラクター像を下支えしています。
 そして不安さえ覚えさせるフーディンの教科書のような筆跡。筆跡は人によって当然違うし、同じ人でもその時々の感情次第でも変わるものなので、筆跡ひとつでいろんなことが分かる。けれどフーディンの書く文字はそういうものを一切読み取らせない。交渉現場の緊張感を引き出していますよね。ああ、文字という道具でも緊張感を創出することができるのかと感銘を受けました。

 これほどまでにいい点があるのですが、なんとなく読めてしまった感じがあったのも事実です。展開の作り方をはじめ基礎が出来ている作品だからこそ引っかかることなく読めたのでしょうが、まだ展開に小さな山がいくつかほしいところ。「数に負けた」というインパクトある大きな山に周囲の景色が食われている印象です。せっかくのポケモン小説ですので、たとえば突入前の状況調査にももっとポケモンが出てきてもよかったですね。ポケモンならではの能力を生かして人間と困難に立ち向かうシーンはやはり魅力的だと思います。
 あとは誤字脱字が少々多かった点ですね。これは推敲にかける時間次第でぐっと減ると思いますので、長くは書きません。
 長々と書いてまいりましたが、まだまだ進化を遂げていく作品という実感の裏返しと思ってご容赦ください(偉そうにすみません……)。長文が少しでもお役にたてれば幸いです。
◆小樽ミオ

☆☆☆
読みごたえのある素晴らしい作品でした。戦わずとも主人のかけがえのないパートナーとして生きてきたフーディン。人間の汚い心のせいで殺された主人。哀しい結末ですが、読み手に問いを投げかけて終わるというのも面白い。この問いの答えを作者様が持っているのならぜひ伺いたいです。
◆ミルメコレオ

☆☆
数に勝つ、という事を主題に置いて、ポケモンの反逆というテーマを扱ったことは面白いと思います。
しかしながら、フーディンが犯した犯罪の内容については、色々疑問を感じざるを得ません。

集めた証拠を警察に提出する、得意の頭脳を用いて次々と社内のコンピューターをハッキングして極秘データなどを流出させると言うような事もこの個体なら可能でしょう。それらをしないでまず人質に取る事を選ぶと言うのは、いくら戦いが本能的に選ばれる手段だとしても、引っかかります。

また、大きな会社の割には誰もポケモンを持っていないことにもゲームやアニメを見る限りじゃ違和感を拭えません。イッシュのように『ポケモンは友達』的な考えを持つ者が極端に少ない地域や国だったとしても、通勤や愛玩用に連れ歩く人はいるでしょうし、それを思えばフーディンたった一匹で会社を制圧するならば、チャンピオンクラスの個体でもなければ難しいかと。

また、いくら主人公がポケモンを大事にする思考の持ち主であっても、ポケモンに人間へ反旗を翻す手引きを持ちかけるのはいかがなものかと。フーディンが、交渉を出来るだろうという考えに至った経緯なども含めそこらへんを丁寧に描ければよかったと思います。

着眼点が良い分、細部の描写がおろそかになってしまっている。そんな印象を受けた作品だったと思います。文字数が結構厳しいですが、無駄を削って書き込むべきところを書き込めればもっといい作品になると思います。
◆リング

☆☆
数の論理、という警察小説では王道のテーマを、これまた王道の筋書きに沿って書いた作品でした。ラストシーンは結構はっとするものがあり印象的でしたが、途中のフーディンの語りがやや冗長に感じられたのが少し惜しかったです。ただ、「ポケモンによる犯罪」、それもポケモンが使役されるのではなく自らの意志で犯罪を起こすというテーマは非常に興味深く、同じ方向性を模索している身として非常に参考になりました。切り口としては面白く、今後の可能性を感じさせる作品だと思いました。
◆586

☆☆
フーディンとの最後の会話に緊張感が足りなかったような気がしましたが、それ以外とてもいいです。バチュルなら懐しのびこめる。けど動いたらわかるような。
数に殺された!って結構好きです。
◆きとら