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初版公開:2013年1月3日


【005】冷たい刃にうつろ仕掛けを   作:朱烏

☆=3  ☆☆=10  ☆☆☆=7  合計=44

(自由感想)
この作者はちゃんと読んでいると思う。ライトノベル、ミステリというものを読んで、どう構築するかをきちんと整理している。それほどまでにステレオタイプな作品だった。
紋切り型というのは、いい意味で使われることの少ない言葉だが、しかしそれはスタンダードでもある。基本を抑えて、初めて逸脱できる。基本的な文章を書けない人間に、独創性などそもそも表現する技量はないのだ。この作者は読み・書くことで力を付けている。
この文章には読書量を感じさせられた。とにかくそれを評価したい。☆☆
◆渡邉健太

☆☆☆(逆行)
☆☆(乃響じゅん。)
☆☆☆(ラクダ)
☆☆(<無記名>

☆☆☆
指定数ギリギリの分量で、且つ勢いがある素晴らしいお話でした。読んでいて疲れないのは作品として素晴らしいです。文句なし。
◆フミん

☆☆
 非常に迷った末、☆二つにさせていただきました。とても大好きな雰囲気の小説で、終始ワクワクしながら読ませていただきました。描写も洗礼されていて、物語の配分にも極めて無駄が少ない。最後のヒロトとアキヒコの会話も種明かしをしているようで面白かったです。
 ですが、これらの面白い点は時や数というテーマによるものではなく、小説としてのものでした。時というテーマは感じられるものの、他の配分が大きすぎて調味料のような存在になってしまっているのが残念です。その点から、一つ評価を落とさせていただきました。小説としては文句なしに面白かったです。
◆(無記名

☆☆
話は二人と一匹で展開する。最初はヒロトの兄、次に少しだけ森で出会ったポケモン、最後にヒロト。これは上位行きそう。お題の消化という点でも申し分ないし、こんなお兄ちゃん怖すぎなので絶対近くにはいてほしくないけれど読んでてどきどきするね。あとこれといってひっかかりを覚えない。かなり文章馴れしてる。すらすら読める。これといってああしたほうがいい、こうしたほうがいいというツッコミも無い。
たぶん、みんな「面白かった」とか「スリリングだった」という感想をだしてくると思うので、個人的にはケンタさんあたりがどういう批評を加えてくるのかが気になる。
◆No.017

☆☆☆
 これまで見てきたポケモン二次創作小説の中でも非常にレベルの高いサスペンスでした。冒頭の兄の独白は、羽化した後のヌケニンを暗示していたのですね。緻密な伏線に、読み返した時に気が付いて驚きました。
 ヌケニンの背中を覗き込むと魂を吸われるというオカルトな設定をうまく活かせていたと思います。
◆イサリ

☆☆☆
悔しいけど、☆☆☆にせざるを得ない。うまい。この話は感情移入させるような話じゃなくて、なんというかロジックでガチガチの話だなあと思った。いい悪いじゃなく。好き嫌い関係なしにただひたすらうまい。うまいし、圧倒されるけど、それだけって言うとなんか違うけど、なんだろう。多分、こういう理屈で作られた話が作者さんの持ち味なんだろうなとか。まとまりない感想でごめんなさい。
◆砂糖水

☆☆
 上手い! 主人公とヌケニンの不気味さの描写や、再読を想定した上での巧みなトリック。素晴らしいです。
 ただ、終盤部分(「20xx年」以降)は、正直に言って長すぎると思います。もちろんある程度の説明は必要だと思いますが、説明部分がこの長さでは、ちょっと。
 また、一番最初の一節は、なかなか挑発的で作品の内容ともあってるし面白いと思うのですが、最終的には説明されすぎてなんとなく虚しく感じられました。
 この一節を入れるのならば、やっぱり説明はほとんどなくして読者に考えさせる・想像させる形にしても良かったと思います。
◆利根川 泰造

☆☆
夏の深夜に読みたい話の一つです。
暑い中背筋が冷やっとするような、そんな話でした。
◆穂風奏


 文章は良かったです。個人的にはムウコンで三指に入る出来だと思います。でも、きっと文字数が足りなかったんでしょうね。ヌケニンのヤンデレも悪くない。
 こういう猟奇物の主人公は精神的異常者なのか、単に感情の表現の方法が犯罪というカテゴリーに入ってしまう人間なのかはたまた感情を制御できないタイプのどれかに徹してほしかった。
 またこのキャラが読者に共感を求めるのか読者に忌避感を感じさせるのかがはっきり感じ取れなかった。共感を求めるのならば、内面の描写を増やすとかないと厳しかったと思われます。かといって忌避感を感じさせるならば、主人公が普通すぎて、なんで殺人をするのだろうかと疑問しか感じられかった。邪悪とか言われてるけれど、首をひねってしまった。なんだか、少年漫画で敵の強さを脇役が解説しているような感じを受けた。
 兄の殺人ですが、そこに個人的な拘りがあるわけでも、欲があるわけでもなく、ただ殺しているだけ。あるいは呼吸のように人を殺せること、大好きな(文面から個人的にそう思った)弟を殺す決断をすることが、邪悪というのかもしれないけれど、それは邪悪というのは弱い気がする。殺し方が残虐というのならば、それは当てはまるけれど、弱い。
 殺す相手を吟味しているような描写があるのなら、殺し方も拘ってほしかった。
 また、最後の三十年後の描写が、無駄な蛇足にしか感じられなかった。兄の魂を抱えたヌケニンのその後を書くなら、ヌケニンの内面や様子があまり描かれていないし、魂が解放されたあとに起こるなにかを連想させて、恐れさせるなら、ひとつ前のヌケニンの心情だけで十分だし、何を意図したかがよくわからなかったです。
 もしかして、兄の魂が出てきて、それでどうなるかを読者に想像させてぞくりとさせようとしたのでしょうか。兄の魂がどうなるのかとかヌケニンが目覚めたことで弟の魂を取り出すことを連想させるつもりだったのでしょうか。
 書きたいことが五つも六つもあるように見えて、全部を中途半端にしか見えなかった作品という印象。
◆西条流月

☆☆
 狂気を主題に据えたと思われる作品。他の追随を許さない高い文章力と、そこから紡ぎだされる緻密なストーリーにはかなりの凄味がありましたが、同時に恐らくこれでも相当温く描いてるんじゃないかなぁとも感じました。書き物に慣れた方の犯行じゃないかなと(笑)
 開始から非常にインパクトが強く、更に物語の締め方も理想的で、構成についてはほぼ隙が無いように思われます。主要人物達がそれぞれの視点から行動し、それが一つの物語を形成すると言うスタイルは、書き手の腕に大きく依存する部分があると思いますが、この作品の作者は十分過ぎるほどにそれに適っていました。物体の質感やにおいにもしっかりと言及し、3者3様の歪みが絡み合って描き出されたこの技巧を、真似られる自信はありませんですね……。
 ただ一点惜しむべきは、非常にレベルが高かった反面、ストーリー自体はそれほど目新しいものではなかったという所でしょうか。ポケモンと言う要素を用いた分それ相応の表現やギミックはありましたが、狂気とヌケニンと言う組み合わせも取り立てて珍しい発想とは思えませんでしたし、全体を通して些か平坦な印象が拭えませんでした。心理描写に特化したのも、素材を生かすと言う点では正解だったと思いますが、それが同時に作品の枠を限定的なものに留めている要因ともなっていて。……この辺はもう完全に個人の嗜好だと思うのですが、自分は読み終えた後も物足りなさが強かったので、敢えて評価を一つ下げさせて頂いてます。御免なさい……。
◆クーウィ

☆☆
ポケモン小説では今までほとんど読んだことがないタイプの小説でした。狂気に満ちているというのがしっくり来ますでしょうか。
弟を欲望を満たすための道具として見つめる視線。兄の毒牙を前にして小動物のように怯えるしかない弟。読みながら理性が「正常ではない」と警鐘を鳴らしてくるわけですが、その上で読むと大変にぞくぞくする。上手く言葉にできないのですが、いい意味で妙な感覚を覚える作品でした。はじめてか、そうでなくても久々の感覚かも。
気味の悪さは終始一貫していたように思います。読み終わっても胸の奥につかえるものが残った感じはきっとそのおかげですね!
◆小樽ミオ

☆☆
ヌケニンが怖い!!しかし「蜃気楼の中で」と同じくこれも、人間のほうがもっと怖いという作品ですね。殺人犯だった兄という存在が、弟の心をどれだけ歪めたのかが気になりました。
◆ミルメコレオ

☆☆☆
いい感じで主人公錯覚トリック的なことをしてますね。最初は全部ヒロト兄の視点だとしっかりだまされました。面白かったです。こういう技巧的なことは、ポケスコでは珍しいのでは?
最初の一文「Dear Whom this might puzzle.」が文法的に正しいのかは私にはわかりませんが、その心は「困惑したすべての人たちへ」という感じでしょうか。確かにどれがヒロト兄で、何がヌケニンなのかが(読了後も)わかりにくい。正解ってあるんでしょうかね。そのうち解説をお願いしたいです。一瞬ヌケニンがヒロトを乗っ取ったりというのも考えましたが、さすがにないか。
お題があんまり表面に現れていないのがやや気になりますが、それでも十分☆3つ分だと思います。
◆SB

☆☆☆
猟奇的な主人公とその弟の心情の移り変わりや、切羽詰った様子など臨場感があってよかったと思います。

ただ、不思議な守りのヌケニンに包丁が通ってしまうあたりなど、ちょっとばかし疑問符を掲げてしまいます。兄さんが辻斬りを使ったと言うのならばともかくですが……なんだかんだで野生のポケモンが出現するような場所にも何度か赴いているようですし、ポケモンを持たせても良かったのではないかと思います。

それら違和感を差し置いて、背中の穴の設定を上手く活かし、また弟もなんだかんだで兄と同じサディストな性格を受け継いでいるあたり、巧みな表現だと感じました。
◆リング


特に何が悪い、というわけではなく、おしなべて無難にまとめられている感はあります。筆致も安定していますし、筆者の書きたい世界観も分かります。しかし、全体を通して何を伝えたいのか、ヒロトのお兄さんの狂気なのか、ある意味それを上回るヒロトの狂気なのか、それともヌケニンの言い知れぬ恐ろしさなのか、或いはそれ以外なのか、ごちゃ混ぜになっていて判然としがたいという印象を受けました。最後のヒロトによる「解説」のシーンはもう少し短く、印象的なシーンのみを切って入れた方が、すっきりまとまったのではないかと個人的には思います。
◆586

☆☆
一つの事件を三つの目がみてる。
仕掛けは面白いですな!
ヌケニンの図鑑もそんなんでしたし。
いろんな素材をうまく使えてるなぁという印象でした
◆きとら

(作者票)
自作品です。
まずはお題に感謝。お題が『数』でなければこの落とし方は有り得なかったし、もっとつまらない話になってました。
当初はハッピーエンドにしようと思いながら書いてたけど初っ端に死体が登場している時点で無理でしたね。はい。
それとこんな無粋で野暮な説明は不必要かと思われますが……この物語はヒロト視点につながるまで、空蝉→兄→空蝉→兄→空蝉→兄……というふうに続いています。無意味に*で区切りを設けていたわけではないです。意味? なんか面白そうだったから。
ちゃんと書き上げられて満足でした(´・ω・`)
◆朱烏