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初版公開:2012年12月29日


【002】砂漠の神の子   作:リング

☆=6  ☆☆=9  ☆☆☆=5  合計=39

(自由感想)
非常によくできている。取材も必要だったろうし、その中で如何に個性を押し出すかで悩みもしたと思う。余計なものを付け足さず、よく我慢してまとめきった、忍耐の作品だと感じる。
こうした伝承物は何度も目にしていて、モチーフが斬新という訳ではない。けれども読ませる、想像させる魅力がある。 例えば神の子の記憶だとか、神の子の家だとか、その表情や風景を思い浮かべずにはいられない。砂漠の中でどんな素材で部屋を家を造るのだろう。そこで読む書物は、どんな姿をしているのだろう。それが描き込まれていたら、もっとよかった。
惜しまれるのは、これほど歴史・伝承を感じさせるファンタジックな背景を描きながら、たった50年後にポケモン図鑑が編集されてしまうことだ。500年でもよかった。☆☆

ところで、ちょうど映画「ゴティックメード」の上映と時期が被るのだけれども、その影響はあるのだろうか。偶然か。
◆渡邉健太

☆☆☆(フミん)
(逆行)
☆☆☆(乃響じゅん。)
☆☆☆(ラクダ)
☆☆(<無記名>


序盤が長かったです。長編ならいいのですが、短編ならもう少し短くてもいいのではないかと思いました。
つまり言い換えると長編で読ませろください。
先人の記憶が神の子に流れ込むって素敵。気が遠くなるよね。なんていうか『コスモ』を感じるよね。
◆朱烏

☆☆
神の子の設定がとても良かったです! 最初からグイグイと引っ張ってくださったのですが、それのせいで最後の展開に多少の違和感を感じてしまいました。神の子と村の結末を描いて欲しかったなぁというのがささやかな希望です。面白い作品をありがとうございました。
◆(無記名)


文章はかなり慣れているし、途中描写も丁寧に描かれていて、設定も津こり込まれていておもしろい。作者の力量の高さを感じた。惜しむべきはラストの落とし方だろう。正直、唐突感があった。せめて事前にウルガモス一族の話題が何かしらの形で提示されていたならばもう少しこの唐突感もぬぐえたかもしれない。
あるいは舞台をこの出来事からずっと未来の話にして、砂漠で迷った主人公が、遺跡に迷い込み、なんらかの形で記憶を受け取る、見えているのは全部過去の出来事、のような設定にしたら物語全体のまとまりが出たかもしれない。
◆No.017

☆☆☆
数百年分の時を記憶として受け継ぐ、という発想にまず驚かされました。新大陸の原住民を連想させる村の描写からは、そこに住む人々の息遣いまで伝わてくれるようでした。「神の子」になることを恐れる主人公の心情はとても共感できるものであり、それが記憶の継承により一変する様子は空恐ろしくさえあります。不思議な世界にたっぷり浸ることができました。
◆イサリ

☆☆☆
舞台とか村の様子がいいなあと思った。なんのポケモンだろうって読んでてワクワクする。おお、ってなる。見せ方うまいなーと。
ただ最後ちょっと息切れ…?もうちょっと書き込んでもよかったかなあ、とか。やっぱり今のままでもいいかなあ。
◆砂糖水

☆☆
ポケモンとの共同生活が細かく、丁寧に描かれていて良かったです。しかし、決定的な欠陥というわけではないですが、「サボテンのステーキ」の部分が少し気になりました。ポケモンの肉を食べることを、作者氏の倫理上あるいは作品の舞台上でタブーとしていないのなら、サボネアにしろマラカッチにしろサボテンをモチーフにしたキャラクターがいるのにもかかわらずあえて「サボテン」にする必要はあったのでしょうか。他の部分で徹底的にポケモンを絡ませているだけに、余計気になりました。
 ポケモンの二次創作小説では、例えばマサラタウンみたいな「のどかな村」とかはあっても、この作品のように日本国外(特にアフリカ・アジア)を連想させる「発展途上の村」を舞台にしているものはあまりなかったように思います。そういった意味で新鮮味もあり、面白かったです。
◆利根川 泰造


世界観が良く創り込まれているなと思いました。
特に料理の辺り、おいしそうで深夜に読んでいると小腹が空いてきたくらいです。
砂糖をまぶしたトルティーヤ食べたいです。

気になった点を2つ▼
せっかく私と同じく神に対して怖いと思っていた姉がいたのだから、出さないのはもったいないなと思いました。
外の街へはきっと出ていないと思うので、姉から話を聞くことも出来たのではないでしょうか。

そして、トルティーヤのすぐ後に「でも、本日のメインイベントはそこではない〜」という箇所がありますが、『メインイベント』という単語を連続で3回も使うとしつこい感じがしました。
「これ」や「それ」を使うとすっきりしたと思います。
◆穂風奏

☆☆
 食べ物描写や砂漠での暮らしの設定、そして記憶が統合されたらそれは自分なのかどうかという自問自答を前半から選ばれるまでをだれさせなかったのはうまいなぁと思いました。
 反面、記憶を流し込まれた後があっさりしすぎててよくなかった。いや、それはそうなんだからと言われたら、しょうがないんだけど、読者が納得するには量が少ない。延々と悩んでたのに対して、あっさり結論出し過ぎじゃねと思いました。
 自分としてはその結論の出し方が気になっていたのに、作者の方は最後の一文に至るまでの物語が書きたかったのかなと思った。
 釈然としない結末に頭を悩ませられた。
◆西条流月


 そこそこ分量のある作品。そして、それに見合った内容を伴っている作品でもありましたね。普通に面白かったです。
 何より良かったのはストーリー。砂漠の村とその地下に綿々と受け継がれてきた秘密、と言う舞台設定もさる事ながら、『神の子の秘密』の正体が非常に具体的である点が非常にポイントが高い。素朴でありながら何よりも明快なこの種明かしは、今回の企画でもベストの部類に入るものでしょう。説得力と言い整合性と言い、文句のつけようがありません。
 逆に物足りなかったのは、やっぱり最後の結びの部分。此処までの描写や構築が細に入っていただけに、余りにも駈け足な印象が否めません。ちょっと極端な例えかもしれませんが、丁度良い加減の湯船の中で気持ちよく過ごしていたら、いきなり半日過ぎた残り湯に放り込まれた様な感じが致しました。ワザとに語らずの姿勢を強調し、合わせてオーベム・リグレーのゲーム内での設定をも匂わせる事で、最後の余韻を出そうと試みられたのかなとは思いますが、残念ながら自分は、余韻よりも唐突感の方が遥かに強かったです。
 また、描写が非常に丁寧だったのは確かなのですが、それが反って最後の締めに違和感を覚えさせる遠因にもなっているのだと思われます。……特に、宴席のそれはちょっとくどかったかも。料理の描写に力を入れられているのは肌で感じられましたし、読んでいる側としても満足のいくものではあったのですが、流石に食べ方を一つ一つ上げていくまでやってしまうと、他のシーンと比べて温度差が目立ち過ぎる印象です。読み手に情景を思い描かせるのはとても大切な事ですが、料理はやはりある程度のゆとりがあってこそ。語の反復をも強行し、食べ方まで手を取り足を添えて指示されてしまっては、折角の描写も想像力を働かせる余地が見出せず、反って息苦しく感じてしまう場合もあるのではないでしょうか。少なくとも自分は、もう少し流して頂いてもいいかなと思ってしまいました……。
 総じて後ちょっと何処かでポイントが稼げたなら、文句なしに☆の数が増えていた作品です。骨格と言い描写技術と言い、作者の実力とキャリアを十二分に表していたと思います。
◆クーウィ

☆☆
いわゆる民話・フォークロア風の作品という印象。そしてそういった作品には欠かせない衣装や風習、信仰が文を重ねて描かれていたのは好印象でした。なにより食事に繊細な描写が施されていたのは多くの人の興味と食欲を引きつけたことでしょう。
「神の部屋」で神の手の上に躍る様子は、ある種の催眠術のようでどきどきして読みました。「くるくる回る」という行為はふらふらになってトランス状態に入るためには効果的な所作と聞いたことがあるのを思い出しましたね。取材もしっかいしているし、雰囲気を作り出すのが本当にお上手でした。それだけに、最後のぷつりと途切れてしまったような結びは勿体なく思います。せめて一文でもその後のことが触れてあれば消化不良感も減ったのかなぁと思います。ともあれ私はこの小説、好きです!
◆小樽ミオ

☆☆
ラストが少し分かりにくかったです。素晴らしく緻密に描かれていた世界が、プっツンと終わってしまったような唐突な終わり方が気になりました。まだどこかに続きがありそうな……
読んでいるあいだ脳内に「コンドルは飛んでゆく」がずっと流れていました。ペルーやメキシコのような乾いた異国の世界観、大っ変美しかったです。サボテンステーキ食べたい!今回の作品の中で、私的には一番美しい文章です!
◆ミルメコレオ

☆☆
食事の描写が細かくてびっくりしました。お詳しいですね。前半部分だけでもお話になりそうです。
難点としては、最後の『後にポケモン図鑑が編集される、約50年前の出来事であった。』がこの物語とどうつながっているのかがちょっとわかりにくかったです。「これからやばいことが起こるのかな」という不安とこの一文がミスマッチな気がしました。

誤字脱字はきっとうっかりだと思うので置いておきます。それ以外の部分を少し。
細かいですけれども、点の位置がおかしいです。もし単なるうっかりだったらすいません。。。
普段は家畜として、畑を耕す手助けをしてくれるバッフロンやイワパレスの中でも、年老いたお爺ちゃんお婆ちゃんの年齢の子がこの日のために解体されて、料理となって神の子候補達に振る舞われるのだ。

普段は家畜として畑を耕す手助けをしてくれるバッフロンやイワパレスの中でも、年老いたお爺ちゃんお婆ちゃんの年齢の子が、この日のために解体されて料理となって、神の子候補達に振る舞われるのだ。
こっちのほうが読みやすいような気がします。人によるかもしれませんが。
◆SB

☆☆
あまり使われたことのない、砂漠の小さな村という特異なシチュエーションがまず面白かったです。世界観の中にうまくポケモンを溶け込ませていたり、独特な風習などを端々に織り込んでいるのは、作者の技量のなせる技でしょう。あと、ものを食べるシーンは非常に精緻にして克明で、書きなれている感が伝わって来ました。惜しいと感じたのは、落ち着いた前半に比して、後半は「種明かしを急がねば」という筆者の焦りのようなものが伝わってきてしまっていることです。個人的に、あと五千文字のスペースを生かして、より穏やかに種明かしを進めればなおよくなると思います。
◆586

☆☆
文章力が素晴らしく、とても最初からドキドキしていた。
こんな細かいところまでこだわり、本筋がなんだか見えないワクワク!
と思ったらいきなり終わってしまった気分だ。
ストーリーとしては意味をなしてないと思う。
ネタがどれだけ素晴らしいかを競うコンテストではなく、それに付随するストーリーのコンテストだと思うので評価が低くなりました。
◆きとら

(作者票)
自分の作品です。どんなのが感想が来るのかドキドキです
◆リング