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初版公開:2012年12月29日


【001】数葬   作:利根川 泰造

☆=10  ☆☆=10  ☆☆☆=0  合計=30

(自由感想)
初見の印象は「宮沢賢治かな?」
テキストの配置の工夫が現代詩っぽく、これが絵本でもそのまま使えるのではないかなと。よく考えてデザインされていると思う。
ただ、ひとつひとつの言葉を注視すると、それほどインパクトを感じない。独特のオノマトペが現れる訳でもなく、やはり単純な散文に終始している。
存在や生死といった題材と、コミカルな語り口のギャップは面白い取り組みだとは思うけれど、ではそれが童話のように子どもの躾だとか、そういったベクトルを持っている訳でもない。これが子どもの遊びの中で暗唱されるような外部への発展性・介入力なんかを持っていればよかったと思う。

まあ、見過ごすことのできない作品ではあった。☆☆
◆渡邉健太

(フミん)
(逆行)
☆☆(乃響じゅん。)
(<無記名>
☆☆(<無記名>


あだ名で表記されたポケモンの正体がわかったのとわからないのがいました。
致命的だったのは主人公の正体がわからなかったこと。完全に僕の知識不足と読解力不足です。申し訳ありません。
◆朱烏

☆☆
プラナリアって魂の存在を危うくする生き物だよねって友人が言っていて、なんかそれを強烈に思い出した。
主人公はすぐにわかるのだが、ずっくんやてっちんなどがちゃんと思い浮かべられないとキツいかも。でもあえて語らないというかヒントだけなのが味なので、このままでいいのだろう。これはそういう作品だ。
◆No.017


これはブラック……いえいえ、ホワイティなお話ですね……!
メタモンは増えると死ぬのだよ! という発想がとても良かったと思います。実際、分裂で増えていそうなイメージはあります。登場したポケモンはニックネームで呼ばれていたのですが、種族を特定するためもう少し描写が欲しかったかな、と思いました。最後の一文にはドキッとしました。
◆イサリ

☆☆
よくわからないあたりが好き。
◆砂糖水


ムウコンの一作目。最初から平穏でない雰囲気が漂ってます。
何はともあれ、一作目お疲れ様です。
以下感想です▼

読みにくい、というのが最初の感想でした。
字を追っていると「ぼくはどうしてしなぬのだい」の辺りでどうしても引っかかってしまうのです。
頭の中で音を再生しながら読んでいるせいなのかもしれませんが、母音の異なるナ行の音が3つ重なっているのは読み辛かったです。
それと、「ずっくん」や「てっちん」が登場しますが――誰だか分からなかったです。今もよく分かってません。
読者に想像させるのもアリだと思いますが、情報が少し足りないかなと。
そんなわけで読んでいる最中、頭の中では仮に想像したスライム状の何かが大量分裂しておりました。

「お安い御用さ。ボウボウボウ!」
この一文が時々頭に浮かぶのですがなぜでしょう(笑)
◆穂風奏

☆☆
 内容が通常の小説とは違うなぁと言うのが一読後の感想。
 書き方が違うというか文章の雰囲気、言葉選びが絵本やマザーグースの文章のようだなと思いました。
 そのぼかすような書き方が妙な読後感を残し、印象に残った作品でもあります。
内容は延々と孵化させられて、捨てられるポケモンに対してメタモンが自分はどうして捨てられないのかと悩み、行動する内容なのだろうか。
出てくるポケモンがメタモンだとは自分はわからないで、他の人(たしかリングさんだったはず)からの指摘でようやっとわかりました。
ただ、そういう一見してわからない、分かりづらい演出の意味を探っていく楽しさがあった作品でした。
 最後の二文の意味が最後までわからなかったのが悔いでした。
◆西条流月


 今企画のトップバッター! 締め切りのある環境での先陣は、それだけでも価値のあるものです。先ずはお疲れ様でした!
 それでは、次いで内容の方に。率直に申し上げさせて頂くと、作品としては余りインパクトの強いものではありませんでした……。語り口は絵本のそれを思わせるような独特の風味がありましたが、展開には特に目新しいものが見えなかった為、評価は残念ながら余り良くはありません。オチがえらくダークなのは印象深かったのですけれども。
 ただ、文章を拝見するにまだ余り書き慣れておられないのかなと思われる節がありましたので、これからどんどん巻き返して行かれればと。難しく考えず、書きたいものを書いて行った方がより自分の持ち味を発揮できるようになると思います。これからも機会があらば挑戦してみて下さいね!
◆クーウィ

☆☆
当コンテストの第一作としてこの作品が寄せられたときには焦りました。このいい意味で判然としきらない不思議な作品がトップバッターとは、今回のコンテストはいったいどうなるのか! と(笑) ともあれ、先陣を切ってくださったことを運営として御礼申し上げます。
内容は先述の通り判然としきらないもので、登場人物たちをイメージするのがなかなか難しい。ただそれによって生まれる異質さや不気味さが心を掴んでいるようにも思うので、この点はマイナスでもありプラスでもある。登場人物をはっきりさせるのがメリットとは言い切れないのが評価の上で難しいところです。てっちんが最後まで分からずじまいだったのが心残りです。
印象深く残っているのは韻文的な文章ですね。声に出して読んでみるとさらに味わい深い作品となりました。
◆小樽ミオ


メタモンとブーバー以外のポケモンを推測することができませんでした……私の知識不足でございます。考えさせられる、レベルの高いお話ではあると思うのですが……読み手にある程度のポケモン知識を必要とする「人を選ぶ作品」の類かしら、と感じました。
◆ミルメコレオ


最後の一文「それを聞いたてっちんは、怒ってしまってずっくんは、気付けば二つに増えていた。」を読む限り、意味より語呂を優先しているように見えます(そうでなければ点の位置がおかしい)。本文全体の雰囲気からしても、そうでしょう。
というわけで、ストーリーについては言及しません。これはきっと作者様のやり方なんでしょう。個性として伸ばしていかれるとよいと思います。私も、こういうやり方は嫌いじゃないです。あえて言うならば、主人公の(おそらく)メタモンを、もうちょっとわかりやすく描写してもらったほうが、意味がとらえやすいのかなと思いました。
ストーリーは置いておくとしても、じゃあ文章がすごく良いかというと、ストーリーを犠牲にした割には語呂があまり良くないように(私は)感じます。

たとえば第一文。
『前へ進んで左へ曲がって音の速さでそれをして、海に潜って浮き上がって陸へ上がってまた少し前へ進んだところに、一匹の変な生き物のような何かがいました。』は、中途半端に語呂を良くしようとしたように感じてしまいます。
前へ進んで・左へ曲がって・音の速さで・それをして→7,8,7,5 文字ですよね。七五調かと思いきや全然そうではなく、なんか調子がくるってしまうように(私は)感じてしまいました。

こんなのはどうでしょう?
前へ進んで右に曲がって音の速さでそれをして、海に潜って陸へ上がって少し前まで進んでみると、一匹の変な生き物のような何かがいました。

どうせ歌(?)っぽくするなら、もう少し語呂の良さにこだわったほうが良いのでは、と思いました。
◆SB

☆☆
「しねないいきもの」がひたすらに死を願い様々な方法を試してようやく死に至る。という、字面を見るといっそ陰惨といえる内容なのに、それをあまり感じさせないのは優しく明るい語り口によるものでしょうか。子供の頃に読んだ童話のような、優しさと残酷さの混じる不思議な魅力を感じました。
 惜しいな、と思ってしまったのは、独特の語りを維持しようとして逆に語呂が悪くなってしまっているところでしょうか。ところどころ、読んでいてなんともいえない引っ掛かりを覚えました。もう一つ、冒頭の【前へ進んで左へ曲がって音の速さでそれをして】の「それ」が何を指すのかわからず、しばらく悩みました。これは単に語呂合わせの為……?
 読んだ人によって評価が分かれる作品だと思いますが、私は好きです。
◆ラクダ

☆☆
メタモンの増え方について、新説を立ち上げるという面白い着眼点の小説だと思いました。
しかしまぁ、その着眼点からここまでホワイティな作品が出来上がるとは、正直予想外としか言いようもなく。プラナリアのように増えた個体は果たして本当にもとの『ぼく』なのかというテセウスの船のパラドックスのような哲学的テーマも込められていて、短い作品ながら面白いと感じます。
てっちん(いきなり現れる素早さから考えてテッカニンか?)、あんたやりすぎよ
◆リング

☆☆
短い、非常に短い、文字数にして1,300字程度の作品ですが、短い中でちゃんと世界が閉じており、不足している感はありません。増えない・死ねないとボヤく主人公が、熱してもダメ、冷やしてもダメ、それならばといろいろな手を尽くすのかと思いきや、主人公の友人の知り合いにぶった切られてあっさり増えて死ぬという一連の流れ。シュールレアリスティックなアニメーション作品、それも恐らくクレイアニメの類を見ているかのような作品でした。散文詩のような文体がその印象にさらなる拍車を掛けています。おもしろい作品でした。
◆586

☆☆
カオス。その一言につきる。幾重学の模様を文章で書き込んだような、そんな作品。
面白い!というわけではない。じわっとくる不快感をさ楽しむ作品だと私は思う
◆きとら

(作者票)
 自作。主観的に見ても客観的に見てもいまひとつです。しかし「主題」と「形式」を絶対に変えられないものとすると大きな改善は意外と難しいかもしれません。根本的に「形式」を変えればあるいは、というところですかね。
 例えば一人、人間のキャラクターを絡ませれば面白かったかもしれません。
 こういった風に、自分の作品をより客観的に見られるようになるというのも、コンテストの良い点のひとつだと思います。
◆利根川 泰造